2020箱根駅伝順考察

順位予想の結果

順位予想は殆ど当たらなかったが、波乱の展開や下克上の予想は満足のいく結果だった(8大学中6大学的中)。

超高速、波乱の大会

①トレーニングの進化(質、量)、②絶好の気象条件、③ナイキ社の厚底シューズが、三大要因。

今大会の総合記録は、数年破られそうもない。復路の記録は破られる可能性は大きい。

各大学の評価

●青山学院…見事。監督の采配と選手たちの走りから、優勝への執念が最後まで伝わってきた。

●東海…選手たちの持てる力を十分に発揮できたにもかかわらず勝てなかった。

●國學院…積み重ねてきた強化策が実ってきた。日本人だけで大健闘。超エース級の出現が優勝の鍵。

●帝京…戦力が整い、力を発揮した。

●東京国際…全体に勢いがあり、2区伊藤、3区ヴィンセントの2枚エースが立役者。

●明治…記録会には出ず、独自路線で強化し、戦力が整っていた。

●早稲田…予選会の成績が不思議?、地力を発揮できた。

●駒澤…大きな取りこぼしがなくシード権維持。

●創価…留学生不発も後続が繋ぎ、10区の嶋津がチームMVPの走り。

●東洋…優勝候補が辛うじてシード権獲得。区間新2人がいても安心できなかった。

●中央学院…粘り強く繋いだが、10区で力尽きた。

●拓殖…留学生の貯金を維持することができなかった。

●順天堂…昨年より戦力ダウン。戦力通りの結果。

●日本…戦力が弱いので、留学生が不発では、順当な結果。

●法政…層が薄く、今年は危険信号の予想通り。

●神奈川…エース級のスピードランナーがいず、1区の出遅れを挽回できなかった。

●日本体育…戦力不足。1区以外は、誰も力を発揮できなかった。

●筑波…エース級スピードランナーがいず、超高速レースでは対応できない。最下位ではあるが、前回大会の17位相当、93回(2017年)大会では10位(シード権獲得)相当であり、健闘したといえる。

●学連選抜…9区まで17位相当。今回久しぶりに健闘した。

97回大会以降の展望

●超高速化レース…この傾向はこれからも続いていくのは間違いない。

今回、留学生や日本代表選手に匹敵する記録を出した選手が多数いた。

吉田祐也(青山学院)、館澤亮次(東海)、米満怜(創価)、相澤晃(東洋)、阿部弘輝(明治)選手ら、 又、それに近い選手を含めると、10人は楽に超える。

今回の結果に伴い、各大学のトレーニングは益々ハードになっていくだろう。

その結果、エース級のスピードランナーが育ってくるが、故障やバーンアウトで競技から離れる選手が出てくることも懸念される。

●ナイキ社の厚底シューズ…今後国際陸連が、検討する方向で動いている。

各区間の1位と最下位(学連選抜を除く)のタイム差

(1区 4:12)(2区 5:15)(3区 6:31)(4区 5:35)(5区 6:35)

(6区 3:53)(7区 4:31)(8区 3:58)(9区 5:17)(10区 4:12)

これまでエース級の配置は、1区、2区、9区に集中していたが、戦国時代の様相の最近では、新たな戦略の工夫が不可欠である。

今大会、東京国際3区:ヴィンセントの例や創価10区:嶋津の起用が、結果を大きく左右している。

特にシード権獲得に焦点を絞れば、10区にエース級の選手起用が重要となる。

2021箱根駅伝予選会

予選会突破は、今年度以上に厳しさを増してくる。これまでの常連校も、危機感を持っているに違いない。(箱根絶対主義で益々特異な空間が、関東の多くの大学で形成されてくる。)

箱根駅伝に伴う問題

高校生の選手勧誘の厳しさ、文武両道とは?(閉ざされた大学生活)、大学卒業後の進路は?、トレーニングのハード化(スーパーエリートの育成と故障やバーンアウトで競技を離れる選手)

大会補助役員の動員(各大学強制割当で無償のはず)は今のままでよいかなど。

 

執筆者

岡田(松永)一彦 1970年卒 千葉県出身

箱根駅伝は43、44、46回大会は1区、45回大会は7区に出場。

1968年の日本インカレ3000m障害で2位。

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