2021箱根駅伝順考察

予想

優勝争い、シード権争い

優勝争い
  • 選手層が厚い4チーム・・・青山学院、東海、明治、駒澤・・・青山学院が一歩リード
  • 上位争い(3~5位以内)・・・國學院、早稲田、順天堂、中央
  • ダークホース・・・帝京
シード権争い
  • 下剋上・・・順天堂、中央、日本体育が可能性大
  • 混戦必死・・・東京国際、創価、東洋、城西、神奈川、国士館、(関東学生連合)
  • 苦しい戦い・・・専修、拓殖、法政、山梨学院

前哨戦:情報収集合戦

区間エントリー

メンバー変更が6名以内、当日レース開始の1時間10分前に受け付ける。最初の区間エン
最初の区間エントリーは、当て馬が多いものになります。大会前から、変更締め切り直前まで、部員やOB 等を総動員した情報収集合戦が激しくなります。

往路ゴール後

往路ゴール直後から、情報収集も激しくなり、監督とコーチらが集まって、優勝やシード権獲得に向けたオーダー編成や戦略に頭を悩まします。

注目選手

1年生
  • 三浦龍司(順天堂)…東京五輪候補
  • 吉居大和(中央)…5000m、U20日本記録
  • 佐藤一世(青山)…大学駅伝区間新
留学生に劣らぬ実力…10000m27分台
  • 太田直希(早稲田)
  • 中谷雄飛(早稲田)
  • 田澤廉(駒澤)
  • 池田燿平(日本体育)
  • Y・ヴィンセント(東京国際)
  • F・ムルワ(創価)
  • R・ヴィンセント(国士舘)
  • J・ラジニ(拓殖)
5区山登り経験者
  • 宮下隼人(東洋)1:10:25
  • 飯田貴之(青山)1:10:40
  • 西田壮志(東海)
  • 鈴木聖人(明治)
  • 吉田匠(早稲田)
  • 伊藤颯汰(駒澤)
  • 真砂春希(順天堂)
  • 畝拓夢(中央)
  • 井手孝一(神奈川)
  • 藤本珠輝(日本体育)
  • 石川佳樹(拓殖)

選手観察のポイント

自分の走りに役立てることができます
●ペース

襷をもらった直後の走り(勢い込んで?余裕をもって?など)、1㎞のラップタイム(ペース配分)
1㎞ごとのラップ(但し、地形の変動もあるので3㎞単位ぐらいで走りを分析する)

●ランニング技術

リズミカルな走り、フォームと動き(上半身:腕振りと下半身:ピッチ・ストライドの滑らかな連動)、 着地脚に重心(体幹)がしっかり乗っているか、リラクゼーション(力みが見られないか?)
地形に対応した(上り坂、下り坂、平地)フォームと動き

●競り合っている時の動き

出たり入ったりしているか?、マイペースか?、他人を利用しているか?、表情の読みあいなど

●表情

頬が緩んでいるか?、頬が強張っているか?、発汗の度合い、塩が吹いているか、肌艶、 うつろな目?、目力があるか?、キョロキョロしていないか?

1月2日、3日の長期天気予報・・・天候:晴、気温:10℃以下の低気温になりそうです。風力:不明
晴れ、気温10℃前後、微風までであれば、大会記録の更新は間違いないでしょう。

往路 107.5㎞ 大手町 読売新聞社前 → 箱根町 芦ノ湖駐車場入り口

往路で遅れると、後半の巻き返しが難しいので、各チーム往路重視のオーダーになります。

  • 東京の気象条件(12月  日発表)  気温    湿度    風力
  • 箱根の気象条件(12月  日発表) 気温    湿度    風力

3、4区は、これまで繋ぎの区間と言われていましたが、昨年は、2区よりタイム差が大きくなっています。ここにエースを投入するという戦略があるとレース展開が面白くなります。

区間距離 中継点 区間記録保持者と記録 区間1位と20位のタイム差(学生連合は除く)

【1区 21.3㎞】大手町 読売新聞社前 → 鶴見

佐藤悠基(東海) 1:01:06(2007年) 4分12秒

良い流れを作るために、エース級の選手が集まります。安定性のある上級生か伸び盛りの1,2年生が
起用されます。超大物新人の三浦(順天堂)、吉居(中央)の二人が走ると面白いレース展開を楽しめそうです。スタートから速いペースになると、ばらける展開となり、大きな波乱が起きるかもしれません。

最初のポイントが八山橋(7㎞付近)、緩いのぼりから下りになるところで一気にペースアップもあります。

監督たち(運営管理車)は、ここから選手たちに指示を出すことができます。
勝負所は六郷橋の少し前(17km) から、一気にスピードアップし、激しい先頭争いがみられます。

【2区 23.1㎞】   鶴見 → 戸塚

相澤晃(東洋) 1:05:57(2020年)  5分15秒
エースが配置される区間です。ここで遅れると致命的になるので、外れた戦略を修正したり、勢いを載せたりする役割が課せられます。設定ペースをしっかり作ったら、長いのぼりの権太坂(15㎞)を迎えます。

権太坂の下りで足を使うと、中継所まで約3㎞にわたる不動坂の上り(戸塚の壁)が待っています。エースの良し悪しは、この残り3㎞で決まります。ごぼう抜きや激しい順位の入れ替わりが楽しめます。

留学生と日本人の対決も楽しみです。

【3区 21.4㎞】   戸塚 → 平塚

Y・ヴィンセント、(東京国際) 0:59:25(2020年)  6分29秒
遊行寺の長い坂を下ると、12㎞過ぎから海岸沿いの直線コースになります。気温の急上昇や強い向かい風が待ち受けており、調子に乗り過ぎてオーバーペースになった選手は、17㎞過ぎの湘南大橋から大幅にペースダウンする危険性を孕んでいます。運が良ければ、紫富士に向かって走ることができます。

【4区 20.9㎞】   平塚 → 小田原

吉田有祐也(青山) 1:00:30(2020年)  5分35秒
細かいアップダウンのある橋が10か所もあり、リズムを維持するのが難しいコースです。15㎞過ぎの酒匂橋を過ぎると、小田原市内に入りますが、箱根おろしが選手の行く手に立ちはだかることもあります。良い流れを維持させたい区間ですが、層の厚いチームはエース級を投入して往路の覇権を握ろうとします。 前後のタイム差が、山登りの選手のペース設定に影響を与えるので、前に選手が見える状態で襷を渡したいですね。

【5区 20.8㎞】 小田原 → 箱根町 芦ノ湖駐車場入り口

宮下隼人(東洋) 1:10:25(2020年) 6分35秒
今年の山の神は誰か?近年は、差も小さくなっていますが、それでも、大ブレーキ、低体温症、脱水症状、 痙攣などのアクシデントがあり、ゴールするまで安心できない区間です。16㎞過ぎの874mの最高地点まで 840mを上ります。平地になってからリズムを崩し、ペースダウンする選手も出てきます。

中継点鈴廣前(34m)~箱根湯本駅(3.0㎞98m)~函嶺洞門(3.7㎞124m)~大平台(7.1㎞313m)~ 宮ノ下駅前(8.7㎞407m)~小涌谷踏切(10.6㎞525m)~小涌園前(11.8㎞614m)~
恵明学園(13.3㎞614m)~東芦之湯(15.5㎞856m)~国道一号線最高地点(16.2㎞874m)~ 双子茶屋(17.0㎞864m)~元箱根交差点(18.9㎞734m)~ゴール(20.8㎞727m)

テレビでは、それぞれのポイントで、刻々と変化する先頭との差を計ってくれます。

区間記録保持者宮下(東洋)をはじめ、昨年の経験者11名がエントリーしています。

【復路 109.6㎞】  箱根町 芦ノ湖駐車場入り口大手町 → 読売新聞社前

激しい優勝争い、過酷なシード権争い・・・監督の手腕の発揮どころです

  • 東京の気象条件(12月  日発表)  気温    湿度    風力
  • 箱根の気象条件(12月  日発表) 気温    湿度    風力

【区間距離】中継点 区間記録保持者と記録 区間1位と20位のタイム差(学生連合は除く)

【6区 20.8㎞】 箱根町 芦ノ湖駐車場前 → 小田原

館澤享次(東海) 0:57:17(2020年)  3分57秒
往路の時間差スタートなので、前後に他大学のランナーがいるときの入りのペースに注目しましょう。最高地点まで4.7㎞、そこから一気に下ります。100mを15秒(1㎞2分30秒)を切る超スピードで駆け下ります。 地面の凍結などが心配です。箱根湯本駅から残り3㎞、緩い下りが上りのように感じて、ここからリズムを壊し、ペースダウンする選手も出てきます。

スタート芦ノ湖駐車場入り口(727m)~元箱根交差点(1.9㎞34m)~双子茶屋(3.8㎞864m)~
国道一号線最高地点(4.7㎞874m)~東芦之湯(5.4㎞856m)~恵明学園(7.6㎞614m)~ 小涌園前(9.1㎞614m)~小涌谷踏切(10.3㎞525m)~宮ノ下駅前(12.2㎞407m)~ 大平台(13.7㎞313m)~函嶺洞門(17.2㎞124m)~箱根湯本駅(17.9㎞98m)~中継点鈴廣前(34m)

【7区 21.3㎞】   小田原 → 平塚

阿部弘輝(明治) 1:01:40(2020年) 3分57秒

スタートから中継点まで、気象変化が最も大きい区間です。小田原市内では箱根おろしが後ろから吹き付 け、選手の体温を奪います。海岸沿いに出ると、今度は暖かい海風が後ろから選手の体を押します。10か所ある橋の細かいアップダウンが、選手のリズムを壊す要因になります。

箱根口までの下りでオーバーペースになると、海岸沿いに出てからのペースダウンにつながります。

7区あたりから、優勝争いやシード権争いをかけた情報収集が激しくなります。ゴールまでの戦略の練り直しが行われ、付き添いや要所に配したサポートの部員たちに細かな指示が出されます。

【8区 21.4㎞】   平塚 → 戸塚

小松陽平(東海) 1:03:49(2019年) 3分58秒

中継から約15㎞は平坦な直線道路、海風と後頭部からの日差しが選手にダメージを与えます。残り6㎞地点 に約5㎞に亘る遊行寺の坂が待ち受けており、ここをしっかり上り切ったランナーが残り1㎞の下りで前に追い着き、後続に差をつける走りができるでしょう。

優勝争いやシード権争いの行方がほゞ見えてきます。情報収集合戦は続きます。

繰り上げスタートも出てくる区間でもあります。

【9区 23.1㎞】   戸塚 → 鶴見

篠藤淳(中央) 1:08:01(2008年) 5分17秒

中継から6㎞地点まで、下り~上り~下りと続きます。エース級の選手が配置され、優勝争いやシード権争い の状況により、オーバーペースで突っ込む指示が出される選手も出てきます。7㎞過ぎに難関の権太坂が待ち受けており、ここの走りが勝負を分けます。リズミカルに余裕をもって上った選手は、鶴見までの長い平坦で持てる力を発揮できるでしょう。権太坂でリズムを壊した選手は、苦しみながら長い平坦を走らねばなりません。11~13位で中継したシード権争いのチームの選手には、無理な注文も課せられるでしょう。エース級選手たちがどう対応するか、その走りを注目しましょう。

10区 23.0㎞】 鶴見→日本橋→大手町読売新聞社前  嶋津雄大(創価)1:08:40(2020年) 4分12秒

距離が長くなり、非常に重要な区間となっています。優勝目標やシード権争いが予想されるチームは、ここに エース級の選手を配置するでしょう(昨年は、創価大が11位で襷を受けましたが、嶋津君の区間新記録で、9位でゴールし、シード権を獲得しました)。

コースはほぼ平坦(残り8㎞地点品川駅前の八山橋が唯一の緩やかな上り)ですが、気温が上昇したり、 ビルの突風などで急にペースダウンをするケースも稀ではありません。

シード権内でゴールまで計算されたペースを指示する監督・それに応えようとして走る選手、シード権外で前のジープを視乍ら、逆転できるペースを指示する監督・それに応えようとして走る選手、これまでの1年間の努力の積み重ねを決算する最後の熾烈な戦いが見られます。

優勝争いも熾烈になると予想できます。競り合っている場合は、感動的なシーンを見ることができるでしょう。

ある程度の差がある場合は、アクシデントがない走りが第一になります(過去に10区で棄権を余儀なくされたチームもあります)。

※ コロナ感染者数が増加している中、開催に対する批判も多いことと思います。

一方、開催することが、多くの国民の「Stay Home」につながります。

沿道に出ず、テレビ観戦しましょう。

 

振り返り

10区でまさかの大どんでん返し、3分19秒差を、駒澤が創価を逆転!

駒澤の10区石川選手に襷が渡った時、前を行く創価の小野寺選手との差は3分19秒差(約1.1㎞差)、この時点で殆どの人が創価の優勝を疑わなかったでしょう。ところが、ゴール2㎞前での大どんでん返し、近年の大会ではまず起こりえない大逆転劇が繰り広げられました。小野寺君は石津君から笑顔でタスキをもらいましたが、彼の表情は強張っており、目が吊り上がっていました。ものすごく緊張しているように見えました。それでも逆転まではないだろうと思っていました。増上寺あたりからは、最後まで走り切れるか心配でした。よくゴールまで走り切ったと思います。今後、外野からの様々な声が嫌でも入ってくるでしょう。これがトラウマにならず、来年も元気な姿を見せてくれることを信じて待っていましょう。

創価の榎木監督のインタビューも立派でした。敗北の原因が自分にあることをはっきりと表明していました。内心は悔しさ一杯だったでしょうが、その微塵さえ見えないインタビューでした。榎木監督の下であれば、小野寺君もしっかり立ち直ってくれるでしょう。1区から9区までの選手は、持てる力を十分に・十二分に発揮しましたが、監督の手腕に負うところ大であったと、評価できます。

シード権争いは、総合力で勝る明治が脱落! 國學院、東京国際が逃げ切る!

10区に襷が渡った時点で、シード権争いは、國學院、東京国際、明治の三校に絞られました。
9位國學院から13秒遅れで東京国際、東京国際から28秒遅れで明治。10000mの持ちタイムを比較すると、木村琳(國學院)くんが28分28秒、杉作翼(東京国際)くんが29分34秒、長倉奨美(明治)くんが28分37秒でした。

力通りであれば、明治が東京国際を逆転できる根拠は十分ありましたが、残念ながら明治の長倉君が勝負をかける走りを最後まで視ることができませんでした。駒澤の石津君が見せた前を捕まえるという覇気が、明治の長倉君にはありませんでした。ゴールの結果は、國學院と東京国際の差:1分27秒、東京国際と明治の差:26秒でした。

波乱の要因・・・過酷な気象条件とエース級選手たちの凡走!

昨年の箱根駅伝、高校駅伝、全日本大学駅伝、ニューイヤー駅伝と、高速レースが続いていますが、今回の駅伝の記録はそれに逆らうような結果でした。昨年の記録と比較すると、シード権を獲得できたのは、駒澤と創価の僅か二校だけです。優勝記録は、今年のほうが10分39秒も遅いです。下剋上も昨年は4校もありましたが、今年は1校だけ(シード権獲得:順天堂、シード落ち:明治)でした。又、エース級の選手たちの多くが凡走に終わり、大物ルーキーと言われてきた1年生も、箱根の厳しい洗礼を受けました。そして、低気温と強い向かい風で、筋肉が十分動かない状態で走らざるを得なかった、この二つが低調な記録の大きな原因と思われます。

過酷な気象条件

レース中に汗をかいている選手を殆ど視ることができませんでした。気温が低く、往路復路ともやや強いあるいは強い向かい風に悩まされ、十分に体(筋肉)が動かない状態で走らなければならなかったことが最大の原因と思われます。 ※気象予測(前日発表)…ウェザーニューズ/明星電気

赤字:当日発表

往路

8:00 9:00 10:10 11:00 11:40 1:30
大手町 鶴見 戸塚 平塚 小田原 芦ノ湖
2℃、晴、1m 5℃、晴、1m 8℃、晴、2m 7.7℃、晴、1.7m 10.2℃、晴、2.3m 5℃、晴、4m

復路

8:00 9:00 10:10 10:30 0:20 11:45
芦ノ湖 小田原 平塚 戸塚 鶴見 大手町
0℃、曇、1m 5℃、曇、3m 6℃、晴、4m 6.8℃、晴、1.2m 9℃、晴、4m 6.2℃、晴、1.4m
エース・エース級選手の凡走

全体的に、良い走り方をする選手が多くなりました

●10000m27分台の選手

田澤廉(駒澤)…2区7位、太田直希(早稲田)…区間13位、中谷雄飛(早稲田)…区間6位

●エース・エース級選手の凡走

  • 駒澤(酒井…4区11位)、東洋(西山…7区12位)、帝京(小野寺…1区13位、星…2区12位、三原…6区20位)
  • 青山(中村…2区14位、湯原…3区14位、竹石…5区17位)、東海(佐伯…4区19位、濱地…8区15位)
  • 國學院(中西…区間15位、河東…4区15位)、明治(児玉…1区16位、加藤2区17位、長倉…10区10位)
  • 東京国際(宗像…4区13位、芳賀…6区19位、加藤…9区14位)、城西(菅原…3区17位、梶川…4区18位)
  • 中央(千守…1区17位、森…2区16位、吉居…3区15位、畝…5区18位)
  • 日本体育(福住…4区17位、大内…7区17位、名村…10区17位)

● 厳しい洗礼を受けた超大物1年生

  • 三浦龍司(順天堂)…1区10位:激しいペース変動と六郷橋からのサバイバルに、対応できませんでした。
  • 吉居大和(中央)…3区15位:厳しい気象条件と戸塚の壁に、平地の力が通用しませんでした。
  • 佐伯陽生(東海)…4区19位:リズムに乗れず、冷たい向かい風に苦しみ、力を発揮できませんでした。
  • 諸富湧(早稲田)…5区19位:スピードランナーにも、箱根は重荷でした。

●健闘した1年生

  • 石原翔太郎(東海)…戸塚の壁も克服し、全日本大学駅伝に続き、見事区間賞。
  • 松山和希(東洋)…エースが揃う花の2区、並居る上級生にただ一人挑んだ1年生が、区間4位で襷を繋ぐ。
  • 佐藤一世(青山)…全日本大学駅伝5区区間新の勢いで、悪い流れを止め区間4位の力走。
  • 花尾恭輔(駒澤)…区間4位の走りで先頭の創価に食らいつく走り。

予選会がピーク! 本選に向けてののピークづくりは非常に難しい!

今回の予選会の記録は、非常にレベルが高い結果でした。各チーム上位10名の合計タイムで単純比較すると、 5チーム以上の下克上が起きてもおかしくないレベルの高さでした。少なくても、順天堂、中央、城西の3チームがシード権を獲得してもおかしくない予選会の内容でした。蓋を開けてみると、順天堂だけがシード権を獲得しただけに終わりました。中央は、主力を集めた往路で19位という惨憺たる結果でした。復路くらいの走りを見せていれば、シード権を獲得できていたでしょう。

本選に出場することが最大の使命である現在、各大学が、本線への出場権を得るために、全力をかけていることが分かります。予選会から本選まで約1か月半、その間で再度ピークを作ることの困難さも、結果から証明できます。

又、予選会では、12名中2名が失敗しても許されますが、本線では1名の失敗も許されません。このことも下剋上が難しい原因でもあります。

ブレーキの要因! 半端でないプレッシャーと気象条件!

近年、トレーニングの内容や質の向上、恵まれたトレーニング環境などで、昔ほどの大きなブレーキは少なくなりました。それでも、今回のような(10区創価の小野寺選手、5区青山の竹石選手)大ブレーキが起こります。その主な要因は、①全国的に注目される箱根駅伝という半端ないプレッシャーと①厳しい気象条件の2つが挙げられます。

この二つの要因をレース中に克服する方法は、選手自ら立ち向かうしかありません。観てる人の感動を呼んだり、残酷な結果を生むのも、この二つの要因のなせる業です。コロナ感染の影響もありましたが、関東地区の平均視聴率が、往路31.0%、復路33.7%と、歴代1位を記録したそうです。

留学生の果たした役割!

近年、日本人選手のレベルも上がり、突出した留学生が居ても、必ずしも結果につながることが少なくなりました。

● Y・ヴィンセント(東京国際)…彼がいなければ、シード権は獲得できなかったでしょう。
● 他でシード権獲得に貢献したのは、F・ムルワ(創価)選手一人でした。拓殖、国士館、山梨学院は15位以下。

今後の動向と懸念!

● 益々過熱する選手勧誘と監督・コーチ招聘合戦(プロ化)
● 箱根駅伝漬け=大学生生活(これでよいのでしょうか?)
● 箱根駅伝出場学生の特別扱い(加熱するマスコミ取材、スターのような扱い:学生の勘違い)
● 贅沢すぎるトレーニング環境(海外合宿、海外遠征)

 

 

補足資料

執筆者

岡田(松永)一彦 1970年卒 千葉県出身

箱根駅伝は43、44、46回大会は1区、45回大会は7区に出場。

1968年の日本インカレ3000m障害で2位。

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