箱根駅伝の予想と分析~観戦の手引2

2019年 第95回箱根駅伝観戦のポイントその2

選手・監督の観察、自分に活かせるものを見つけよう

選手の表情や様相

過緊張で寝不足・・・目が吊り上がり、頬が強張っています。動きがせわしない。走り始めてぎこちなさが見られたら、おそらく力を出せずに終わるだろう。自分を見失い、気が付いたらゴールしていたということもあります。

選手の心理を読む 監督からの指示は聞こえていても・・・・・?

校内をライバル争いに勝ち出場を得た下級生は、出場決定の段階で満足(目標達成)している場合が多い。

苦難の末、ようやく出場できた上級生は、無難というより、好走か凡走かどちらかになると推測できます。
選手同士の併走は、選手の性格や心理状態が走りや表情に現れます。もどかしくじれったがっている選手、じっとしかけを待っている選手、イライラしている選手、ウロチョロしている選手、牽制しあっているときの相互の駆け引きなです。

走行中の選手の動きやフォーム

●体の軸・・・正面から見て真っ直ぐであるか?左右がずれていないか?横から見て好ましい前傾姿勢が獲れているか?

●着地脚、蹴り脚・・・左右対称であるか?着地脚が外を向いているか?蹴り脚が、巻き脚や流れ脚になっていないか?

●動きやフォーム・・・次のような観点から観察しましょう。
力み・・・肩が上がって力んでいないか? 拳を握り締めていないか? 首筋が強張っていないか?

動きの流れ・・・力みのない流れるような動き(走りが軽く見える)か? ゴツゴツシテいないか?

リズム・・・緊張と解禁が上手くできているか?上半身と下半身が上手く同調しているか?ぎくしゃくしていないか?

動きの安定性…動きの無駄がなく、軸がしっかりしているか?淡々と(リズミカルに)同じ動きを反復しているか?

走行中の選手の表情や位置取り

集団でレースが淡々と流れている中で、自分の仕掛けのタイミングやライバルの仕掛けのタイミングなどを、絶えず伺っています。マークする相手や、自分のリズムを維持するために、それぞれ位置取り争いをしています。人の後ろを走るのが嫌な選手、肝心の時以外は楽している選手などから、選手の性格などを推測するのも面白いでしょう。

シード権獲得が監督の最大の、監督と選手のやり取り

●大会前のミーティング・・・チーム目標もとに、主将、選手、付き添いなどの果たすべき役割を確認しています。

一人一人の目標タイム、最初の1㎞の入りのタイム、襷をもらった時の順位やタイム差への対応法、情報収集など。

タスキを受けてからのスタートの動き、1㎞の入りのタイム、前後とのタイム差などをもとに指示を与えています。往路の成績により、復路の作戦の修正が必然となります。6区の選手の走りを見乍ら、監督の作戦を推測すると面白いでしょう。

予定通りいかないのが大会の面白いところです。予定が外れた大学の監督や選手がどのように対応しているのか?

優勝争いやシード権争いに、成功するか失敗するかなどを予想しながら観戦しましょう。

各選手の最初の走りを見て、ゴールを予測しましょう・・・当たるととても面白いですよ

●各選手の最初の走りを観察しよう(スタートの仕方、1㎞の入りのラップタイム、動きやリズムやフォームなど)。

最後までペースを維持できる? 必ず落ちる? 何人抜ける?抜かれる?選手が襷を渡すときはどうなっている?

ランニングの望ましい動きやフォームの学習になります。自分や普段の仲間たちのそれと比較しながら、選手の走りを観るのもよいでしょう。

全日本大学駅伝対校選手権 2018.11.4開催の結果は役に立たない!

①各区間の距離が短すぎます。箱根に当てはまる距離は、8区の19.7㎞だけです。

10㎞前後の距離と、20㎞を越える距離では、走りの組み立て方や内容が全く異なります。例えば、残り3㎞からのエースダウンによる落ち込みは、箱根では1分以上になることも多いでしょう(10~15kmではこれほど落ちない)。

②全日本に照準を当てていない大学が多く、最大の照準は、あくまでも箱根です。

③ピーキングの問題がある。

秋から冬の、個人のピークは1回しかない。全日本でピークを迎えた選手は、箱根のピークは全日本時より低い。

④箱根のプレッシャーは段違いに大きく、箱根ではプレッシャーに負ける選手が続出します。これは、個々人の性格にも影響されるものであり、監督がコントロールし得ないものです。

※10~15㎞までの短い記録と20㎞以上の長い距離の記録の、相関が高い選手の走りを分析しましょう。

裏側からの眼、斜めからの眼

●「箱根駅伝 スポーツにあらず」(玉木正行、毎日新聞2014.12.27より)

私は箱根駅伝が大嫌いだ。・・・・・・・

関東の男子大学生だけの大会なのにメディアが大騒ぎしすぎる。…関東と地方大学の格差…過酷な坂道…イベントは盛り上がるだろうが、日本の長距離界はさらに優秀な人材を失うだろう。・・女性差別的・非スポーツ的な大会・・以上の「箱根駅伝非スポーツ論」に対し、箱根駅伝賛成派の声を聞いてみたいものだ。

●出場選手の所属は「広報部?」

箱根駅伝の視聴率は25%を超えるお化け番組です。スポンサー料は1秒100万円?と聞いたことがあります(未確認)!

優勝争いをしている大学がテレビ中継されている時間をお金に換算すると数億円ともいわれ、大学の経営に大きな貢献をしています。各大学が力を入れるのもわかります。選手の多くは寮での集団生活です。ランニングを除いたその他の時間はどのような学生生活を送っているのでしょう?興味は尽きません。

●メディアリテラシー・・・テレビ局のシナリオを探ってみよう

日テレは、大会中継の他に、「今昔物語」や予選会を勝ち抜くための苦労話などで、如何に視聴率を上げるかを考えています。私岡田は、苦労話などはうざいと思っています。

2019年第95回箱根駅伝勝敗予想

大会観戦の視点

● 優勝争い…青学は断然の優勝候補。Bチームを結成して参加しても、楽にシード権を獲得できる層の厚さを誇っている。死角も見られず余程のアクシデントがない限り優勝は固いが、期待も込めて、勝負の年を迎えた東海大の初優勝を予想した。山下り(6区)が終了した時点で、青学に3分以上の差をつければ、初優勝も可能だろう。総合タイムは、この2チームが、11時間00分00秒を突破する。東洋の優勝は、2チームがこけた場合に限る。

● 総合タイム(往路タイム、復路タイム)…11時間00分00秒を突破できるのは、青学と東海の2チーム

・2011年の第87回大会で、早稲田が11時間初めて突破した。以降(第89回大会を除く)、駅伝高速化に拍車がかかった。トラックでスピードを養成する傾向も強くなり、箱根からマラソンに繋がる選手養成を目指す大学も増えてきた。

・往路107.5㎞、復路109.6㎞…復路の方が2.1㎞長いが、山登りと山下りの差を考慮すると、復路の方が少なくとも5分記録がよくなければならない。ところが過去10年の内、6年は往路の方が速く、復路が5分以上速かったのは89回大会だけである。ここからもすべての大学が、往路に重点を置いているのが分かる。

● 上位争い(3位~5位)…最優先はシード権獲得で、最初から本気に狙うチームは、青山学院と東海以外はない。

● シード権獲得…青学と東海以外はこれが最重要の目標。15チームの可能性を予想。最大4チームの下克上が考え られる。昨年の箱根経験者が5人以下の大学…4チーム、6人以上…16チーム、予選組の駒澤と明治の走りに注目。

・シード権が難しい大学…7チームを予想。関東学生連合はオープン…21位予想。

● 選手の配置(オーダー)…全チームが往路重視、復路の展開を考えてオーダーが組めるのは、青学と東海だけ。

往路で失敗したチームが、復路で修正できるのは非常に難しい。特に前半で躓くとまずいので、1区と2区にはチーム主力が配置される。復路は時間差スタートなので、6区は山下りの良しあしだけでなく、自分でしっかりペースが作れる選手が重要となる。シード権の有無が見えてくる10区は、失敗の少ない安定した走りができる選手の配置が多い。

● ブレーキが起こりやすい条件…気象条件、選手の過緊張、レース展開など

・高温(15℃以上)高湿、無風…特に3区、4区  ・低温(5℃以下)、低湿、強風…全区間、特に寒暖差の激しい5、6区

・過緊張の選手(ひきつった顔、生気のない顔、ぎこちない動きなどが観察できる)…正確な状況判断ができない。

・レース展開…中継時に前に選手が見えている時の入り方が難しい。特に6区は、下り終わるまで監督車の伴走ができない。…オーバーペース気味になりやすい。シード権争いが激しくなる9区、10区…監督から予定外の指示がでる。勝負をかけたペースアップや安全運転のためのペースダウン…選手のリズムが乱れる可能性が多きくなる。

● 選手のラップタイムの目安…時速20㎞=1㎞ごとのラップは3分00秒が目安

・上位選手…1㎞のラップ 2分50秒~3分00秒

・好走選手…1㎞のラップ 3分00秒前後

・最初の入りが3分10秒以上…調子が悪い

・中間地点からラップがじりじり遅くなる…大ブレーキの可能性

【執筆者】

岡田(松永)一彦 1970年卒 千葉県出身

箱根駅伝は43、44、46回大会は1区、45回大会は7区に出場。

1968年の日本インカレ3000m障害で2位。

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