就職・採用アナリストとして活躍する谷出正直さん

大事なのは世の変化と変わらぬ本質を把握すること

採用アナリストとして活躍する谷出正直さん

 

4月に茗渓会館で開かれた教育大・筑波OB・OGの異業種の会「茗渓・筑波産業人会」で講演したのは、採用コンサルタント、採用アナリストとして活躍する谷出正直(たにで・まさなお)さんでした。

 

奈良県・畝傍高校出身で現役時代は400m選手だった谷出さんは、2003年に体育専門学群を卒業。

体育研究科大学院へ進学し、研究テーマは「バウンディングのトレーニング効果」でした。

バウンディング一歩の距離とスピードの違いで、どのようなトレーニング効果が生まれるかを検証。

講演会の冒頭で「阿江(通良教授)先生に鍛えられましたと」自己紹介したので驚きましたが、大学院2年間での勉強・経験は就職後も大いに役立ったそうです。

 

サラリーマン生活約11年の後、フリーランスに転身

現在は企業への採用活動の支援を続けており、企業や自治体、大学、業界団体などから講演やセミナーの依頼が増え、全国各地での講演は年間50回を超えるそうです。

NHK「クローズアップ現代+」に出演して最新の雇用・就職状況を解説したのを始め、各メディアでもインタビューやコメントが掲載される機会が多くなっています。

この日の1時間のプレゼンも平明・広範。さすがでした。

 

NHKの「クローズアップ現代+」に出演した谷出さん

 

講演では、ここ30年ほどの大卒求人倍率の推移から、倍率1.88倍の今年は「売り手市場」と紹介。

人手不足の企業が採用活動をさらに早める傾向が出ているため二極化や多様化が進み、SNSやさまざまな情報ツールの普及で就活そのものが様変わりしていると分析しています。

 

学生側の価値観の変化も大きく、そういう状況を理解していない“上から目線の企業”は学生から見放される。

船原がかつて採用側で面接などを行った際にも感じたことですが、「学生に選ばれる企業」になることが求められているという結論は説得力がありました。

 

この日は、同行していた小学校二年生の娘さんが部屋の片隅で宿題をこなしており、宿題を終えると途中からプレゼン用スライドの切り替え役も務めていました。

夫妻の間ではこの日、谷出さんが娘さんの育児担当日。父と娘の屈託ないやり取りからは、新しい時代にふさわしいカジュアルでスマートな家族生活スタイルを実践しているなと感じました。

 

大事にしているのは「世の変化と変わらない物事の本質」をしっかり把握すること。

その上で「人間関係」と「ネットワーク」を重視している。

常にアンテナを高く張って最新の情報を入手し、相手にとって「会いたい人物、会うメリットがある人物」でありたいと努力しているそうです。

 

そんな専門家の目から見ると、母校の就業状況は決して満足な水準ではないそうです。

教育大時代の陸上部OB・OGは8割以上が大学も含めた教員になっていましたが、昨今では1割にも満たないのが実情。

就業活動に力を注ぐ私学とは比べるべくもないですが、他の国立大学と比べても就職支援活動が活発とは言えないようなのです。

「大学側はもっと考えるべき。現役生も単に部活をやるだけでなく、社会に出て生きる上でのモチベーションにしなくては」。

 

入学時の4年生だった木越清信コーチからは、学生たちの就職活動でアドバイスをしてほしいと要請されており、そのためのセミナー開催の用意もあるそうです。

心強い先輩の最新情報とプロの分析をしっかり吸収し、来るべき就活に臨んでほしいものです。

(F)

 

司会の武田アナも1990年社会学類卒の筑波大OB