会報巻頭言:部長挨拶
競技者の心を忘れず学生たちに温かい声援を
部長 尾縣 貢
マラソンは運営するものと決め込んでいた私が、人生で初めてハーフマラソンを走ることになりました。必要に迫られ、半ば専務理事の義務としてスタートラインに向かいましたが、十分な準備をすることなくレースに臨むことに何か後ろめたさがありました。
いざスタート地点に立つと、現役時代のような競技に向かう感情が沸々と湧き出てきました。そして、レースでは何が何でも「1km 6分ペース」を死守しようとする自分がいました。後半の上り坂では「歩くことは人生の負けだ」なんて大げさな感情が頭をもたげたり、動かない足をなりなりふり構わず動かしてフィニッシュに向かう自分を見付けたり、走り終えた後には近ごろに経験したことのない達成感に包まれました。
陸上競技の真の素晴らしさを思い出した瞬間であり、競技者時代の大切な感情を忘れていた自身を恥じた瞬間でもありました。「アスリートファースト」という言葉は蔓延していますが、それは「競技者の心を忘れない」で接することに他ならないことに気付きました。コーチ、サポートスタッフはもちろんのこと、競技運営側、メディア、そして観客も持っていたい気持ちです。
OBOGの皆様にも、自身の競技者時代の心を呼び起こしていただき、学生たちに温かいご声援をお願いいたします。