筑波勢が全員入賞「アジア大会陸上総括」

船原 勝英

ジャカルタ・アジア大会は2日に閉会式を迎えますが、主要競技を終えて日本チームは各競技で健闘し、メダル争いでも久々に韓国を抜いて2位を占めています。最終日を前に、ひと足先に陸上競技の簡略総括と筑波勢の結果報告をします。

8月に開催されたジャカルタ・アジア大会の陸上競技は金メダル6個、メダル総数18個と大方の予想を上回る結果でした。特に男子200mで20秒23(+0.7m)の自己最高で激戦を制した小池祐貴選手、酷暑の男子マラソンでこれも接戦の末に金メダルに輝いた井上大仁選手が印象に残ります。もちろん、男子100mに10秒00(+0.8m)の自己最高で銅メダルを手にした山縣亮太選手の活躍は別格。文句なしの強さを発揮して優勝した4×100mリレー日本チームとともに、日本スプリント界の意地を見せてくれました。

男子走高跳の戸邊と女子ハンマー勝山が銅

アジア大会出場の筑波勢6選手全員が入賞

6選手が出場した筑波勢はリレー種目も含めて全員が入賞。男子走り高跳びの戸邊直人選手(自
己最高PB2m32)と女子ハンマー投げの勝山眸美選手(PB65m32)が見事に銅メダルを獲得しま
した。戸邊選手は今季、イタリアの競技会で2m32をクリアして優勝したほか、最高峰のゴールデンリーグでも世界の強豪に交じって互角の戦いを展開してきました。世界NO1のバルシム(カタール)が故障で欠場していただけに、この大会では金メダルも視野に入れていたことでしょうから、悔しい結果だったはず。

勝負の高さ2m28への挑戦は惜しい跳躍でした。

勝山選手も6月の日本選手権で自己最高をマークして2連覇と上り調子。アジア大会初出場ながら、
6投目に渡辺茜選手を逆転する勝負強さを発揮しました。しかし、上位を占めた中国勢とは7m以上
の開きがあり、「スピードとか足のさばきとか全てにおいて上」と力の差を認め、さらなるレベルアップを目指しています。

個人種目では男子三段跳びの山下航平選手(PB16m85)が4位、同走り高跳びの衛藤昂選手(PB2m30)が5位とメダルにあと一歩の成績でした。山下選手は16年リオ五輪後、長く低迷していましたが、日本選手権で16m59を跳んで優勝。この大会でも優勝者とは31cm差、メダルにはあと10cmというレベルまで調子を取り戻しています。衛藤選手は今季、4位だった5月のゴールデンGP(大阪)での2m25が最高と、やや精彩を欠いていました。本番でも足を痛めたのか途中で競技を中止するなど万全な体調ではなかったなかで、シーズンベストに近い成績でした。

女子4×100mリレーの世古和選手は第3走者を務めて5位、新種目の男女混合4×400mリレーで
アンカーを担った山下潤選手は5位でフィニッシュしました。日本選手権を制した世古選手は100mへ出場するものと思っていましたが、なぜか不調の福島千里選手と市川華菜選手が起用されました。2人がそろって精彩を欠いて12秒近いタイムに終わっただけに、今季好調でリレーでも好走していた世古選手のレースを見たかったのは筑波関係者だけではないでしょう。この悔しさをバネにして、世古選手がさらに強くなってほしいものです。

 

結果

【男子】

▽走高跳(8/25) ③戸邊直人(つくばTP)2m24 ⑥衛藤昂(味の素AFG)2m24
▽三段跳()④山下航平(ANA)16m46(-0.2m)

【女子】

▽ハンマー投 ③勝山眸美(オリコ)62m95
▽4×100mリレー ⑤日本(御家瀬緑、市川華菜、世古和、青木益未)44秒93

 

【男女混合】

▽4×400mリレー ⑤日本(木村淳、川田朱夏、宇都宮絵莉、山下潤)3分21秒90

 

出場者よりコメント

お世話になっております。

この度アジア大会に4×100mRで出場させていただいた世古 和と申します。

アジア大会の結果は

予選決勝共に3走を走らせていただき、

予選44.95 3着

決勝 44.93 5位

で終わりました。

メダルを目指していただけにとても残念で、悔しい結果でした。

私の走りとしては、状態も調子も良かったのですが、

リレーの出の加速、コーナリングなどに課題があり、

私の区間で追い上げることはあまり出来ず、とても悔しい思いです。

 

これからの秋シーズン、100mを走る機会も何回かあるので、まずは個人種目でタイムを伸ばし、これからも女子短距離を代表して走れる選手になり、リレーでも引っ張れるくらいの力をつけたいと思います。

応援、激励金など本当にありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

世古 和


大変お世話になっております。

筑波大学卒業生、つくばツインピークス所属,走高跳の戸邉直人と申します。

この度は、アジア大会出場に向けた激励金をご贈呈いただき、誠にありがとうございました。

おかげさまで、アジア大会では2m24で銅メダルを獲得することができました。

 

筑波大学のOBとして国際競技大会でメダルを獲得することができ、大変うれしく思っております。

しかしながら、記録、順位共に本大会の目標を達成することはできず、同時に大変悔しい気持ちでもあります。

今後は、この気持ちを糧に来年の世界選手権、そして再来年の東京オリンピックに向けて精進して参りますので、引き続き、ご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い致します。

この度は本当にありがとうございました。

 

戸邉 直人


いつもご支援ご声援いただきありがとうございます。

走高跳の衛藤でございます。

 

掲題の件、アジア大会の激励にいただきました激励金を本日開封し用紙を確認致しました。

連絡が遅くなり大変申し訳ありません。

 

すでに陸連ホームページやテレビ等でリリースされておりますが、今大会は決勝前の練習

跳躍において踏切足を負傷し、怪我を押しながらの試合となりました。2m24をクリアした

ところで途中棄権を選択して6位、メダルを獲得できる権利を得た状態での棄権は悔しい

ものがありました。今回の決断が次に繋がるよう今後より気を引き締めて競技に打ち込んで

参ります。

 

怪我の状況ですが、今大会陸連ドクターとして帯同いただいた筑波大学 整形外科の鎌田先生

に見ていただき、骨筋腱には異常がないことが確認されました。

油断はせず、しっかり治して2019年シーズンに備えて参ります。

今後ともよろしくお願い致します。

衛藤 昂