第89回日本インカレリポート
第89回日本学生陸上競技対校選手権は9月11日から13日の3日間、新潟市のデンカビッグスワン・スタジアムで開かれ、筑波大は女子が対校得点で76点を獲得し、2位の日体大に8.5点差をつけて3年連続27回目の総合優勝を遂げました。男子は9点にとどまって28位の不振。日大が100.5点を挙げ、63点の東海大に大差をつけました。
総合優勝のカップを手にする桑添主将(左)と浅井副主将(右)
新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会は無観客で開催され、フィールドの試技数は6回を4回に減らす変則の運営。筑波勢の初日は苦しいスタートとなりました。男子3000m障害は、箱根駅伝で9区(区間14位)を走った川瀬宙夢(6年:愛知・刈谷)が、前年の4位に続いて5位(8分52秒74)に入賞しましたが、やり投げは杉山駿介(3年:専大松戸)が65m52で7位、円盤投げの高橋史門(4年:江戸川学園取手)が47m21で8位に入るのがやっと。
男子3000m障害で5位に入った川瀬(左)と松村
女子も実力者が苦戦しました。昨年の地元岐阜大会で優勝した棒高跳びの若薗茜(M2:県岐阜商)は3m70の4位タイに終わり、走り幅跳びは前年2位で関東インカレ優勝の高良彩花(2年:兵庫・園田学園)が6m03(-0.5m)で4位。そんななか、女子やり投げで主将、桑添友花(4年:宮城・古川黎明)がひじの故障に苦しみながら52m68を投げて5位に食い込みました。昨年の関東インカレ優勝、日本インカレ3位の実績を持つ桑添にとっては不本意な成績だったでしょうが、初の女性キャプテンのこの頑張りがチームを鼓舞します。
第2日の女子走り高跳びで浅井さくら(4年:愛知・岡崎城西)が1m78で見事に優勝し、寺谷諭美(M2:倉吉東)も1m70で3位に入りました。三段跳びでは日本記録保持者、山下訓史さんの娘、山下桐子(3年:福島・橘)が12m69で2位に入賞。円盤投げでも半田水晶(M1:群馬・太田女)が48m31で2位、アヒンバ・レティナ(3年:市尼崎)が44m00で8位に入りました。
女子走り高跳びで優勝した浅井の跳躍
女子三段跳びで2位の山下
七種競技ではシュレスタまや(4年:東大阪大敬愛)が5184点で2位と次々に表彰台に立ちました。400mリレーでも筑波大(影山、三浦、小林、檀上)が46秒11で3位に入り、対校得点では日体大に7.5点差をつけて首位に躍り出ました。対照的に、男子はこの日の得点ゼロと精彩を欠きました。
七種競技で2位に入ったシュレスタまや
女子400mリレー、2走の三浦から3走の小林へのバトンパス
最終日は、ハンマー投げで渡邉ももこ(2年:福井・敦賀)が58m44で2位に入ったほか、ルーキーの景山咲穂(市船橋)が200mで4位(24秒30=-0.8m)に食い込むなど下級生の頑張りで着実に加点。100m障害で小林歩未(2年:市船橋)が13秒86(+0.6m)の5位、砲丸投げではアヒンバ・レティナ(3年:兵庫・市尼崎)が13m45で8位に入りました。
女子ハンマー投げで2位に入った渡邉
女子200mで4位に食い込んだ景山
男子は800mの薄田健太郎(4年:神奈川・希望ヶ丘)が1分49秒65で7位に食い込んだだけ。短距離、両リレーで1種目も決勝に残れない惨敗でした。(F)
男子800mで7位に入賞した薄田
谷川聡監督の話
2日目までの女子予想得点では、日体大に7点差をつけられて2位という見込みでしたが、逆に7.5点差でリードしました。故障を押して入賞を果たした桑添主将の初日の頑張り、走高跳で優勝した浅井さくらの健闘、ルーキーの入賞と想定以上のチームの踏ん張りがあって優勝を果たすことができました。立派でした。
それに対し、男子は実力不足、準備不足を露呈する結果となりました。8月に入ってもグラウンド以外のウエイト場やリハビリ施設が使えない状態。日常の部活動再開レベルから、日本インカレへ向けた高いレベルのトレーニングへ移行する前に大会を迎えた、というのが正直なところです。
このような状況にもかかわらず、大会を開催してくださった関係者の方々、地元新潟のOB・OGのみなさまの力強いご支援に励まされました。あらためて感謝するとともに、残りのシーズンに全力を尽くす覚悟です。今後ともOB・OGのみなさまのご支援をお願いいたします。