【終了】第98回関東インカレ壮行会報告

OB・OG会会長 宮下 憲(S45年卒)

 

第98回関東インカレの壮行会が5月13日(月)夕、筑波大学体芸棟の階段教室で行われた。

今回のインカレには男子1部54選手(58エントリー)、同3部(大学院の部)7選手(8エントリー)、女子1部に37選手(44エントリー)、同2部(大学院の部)6選手(10エントリー)の男子61名、女子43名の計104名が選ばれた。

近年では男子1部の代表選手が最多を数え、女子1部は総合優勝した昨年より1名多い陣容となった。

第98回関東インカレエントリーリスト(PDF)

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男子1部は5000m、10000m、10000m競歩、走幅跳、十種競技を除く種目ですべて3名のフルエントリーできた。主将の山下潤君(福島高、4年)を中心とした短距離ブロックは有力新入生の加入もあって久々のフルエントリーで、リレーを含めた各種目で活躍が期待できる。このところ力を蓄えてきた中長距離陣は、箱根駅伝へ向けた地力を示すためにもハーフマラソンでの入賞者を出したいところ。フィールドの跳躍、投てき種目には飛び抜けた選手が見当たらないものの、入賞圏内の実力を持つ粒ぞろいのメンバーになっており、確実にポイントを稼いでもらいたい。

紹介される男子選手

女子1部は伝統のフィールド陣が充実しており、全種目でフルエントリーしている投てき陣には大量得点が見込まれる。ハンマー投は4年の関口清乃さん(進修館高、埼玉)に連覇の期待がかかり、円盤投では一般入試で入学して50mの大台超えを達成している半田水晶さん(太田女子高、4年)が注目される。日大4年の北口榛花選手が64m36の日本記録を樹立したやり投には、昨年の日本インカレで北口選手に次いで2位となった桑添友花さん(古川黎明高、3年)をはじめとする3名の50mスローワーが高い壁に挑む。

紹介される女子選手

水平跳躍2種目もフルエントリー。走幅跳で日本選手権を連覇し、6m44の高校タイ記録を樹立した高良彩花さん(園田学園高、1年)が加わった。三段跳には昨年の日本インカレ優勝者である剱持クリアさん(山梨学院大附高、4年)が控えており万全の布陣。垂直跳躍2種目は計3名のエントリーにとどまったが、今年も総合優勝の鍵を握るのはフィールド陣だ。

 

100mハードルにはインターハイ優勝者の小林歩未さん(市立船橋高)が新加入。代表3選手すべてが13秒前半の走力を持っており、複数の上位入賞を期待したい。長距離2種目に出場する上田雪菜さん(奈良育英高、4年)の果敢なレースにも注目が集まる。

 

選手紹介の後に激励の挨拶があり、小生の記憶に残るコメントを記す。

最初は尾縣貢部長。選手によっては国際大会よりもインカレの方が多くの人の期待や伝統などによる重圧を感じる人がいるが、それらを追い風として感じ競技してほしい。緊張することはマイナスではなく、適度な緊張はプラスになる。緊張を和らげる方法として自己を客観視するようなメタ認知の方法もあり、自分を見失わないようにしてほしい。インカレは総力戦、その大事さなどについて自身の体験を交えて話された。

挨拶に立つ尾縣部長

 

続いて谷川聡監督。今回の男子代表選手数が近年では最も多く、戦力の充実を感じる。いつも連覇がかかる女子は重圧のかかる場面が多いが、しっかりとした判断をして乗り越えること。残り10日間は、個人としてチームとして何をすべきかを良く判断し、調整する貴重な時間となる。大学院生の力も重要であり、選手、院生、コーチの連携で4日間戦い抜きたい。落ち着いて平常心を保ちながら、一方で緊張する自分を楽しみながら競技会に向かっていこうと呼び掛けた。最後に本学の出身者に他大学の指導者が多いが、彼らは母校の活躍を期待している反面、強いライバル心を持って挑んでくる。他大学から期待され注目されていることも感じながら、しっかりと戦ってほしいと結んだ。

挨拶する谷川監督

 

最後に宮下が。代表権を勝ち取った選手を祝福するとともに、代表選手として桐の葉を着けるからには持てる力を存分に発揮し、悔いを残さない競技をしてほしい。インカレ選手間の競技能力差は小さいので、最後まで集中力を切らさないことや良い緊張を保つことが大事。インカレは個人選手権でもあり、団体戦でもあるが、「1点」を大事にしてほしい。インカレに臨む際、本学は伝統的に「一人一役」を担って全員が参加しているが、その意識を確認して大会に臨んでほしい。全国のOB・OGの多くは直接応援に駆け付けられないが、競技部の活躍を期待しているので、良い報告ができるよう頑張ってほしい。関東インカレが歴史と伝統を持つ競技会であることを知って競技に臨み、関東学連やインカレの競技レベルの向上の担い手になってほしいと激励した。

激励する宮下会長

 

関東学連の技術委員長としてプログラム編成に携わっている主将の山下潤君が不在だったため、跳躍ブロック4年の北川温矩君(敦賀気比高)が主将の挨拶文を代読した。山下主将はまず代表選手に悔いのない戦いを求めた。代表選手は、選考から漏れた学生たちの悔しい思いに応える義務があると述べ、最後までベストを尽くして戦おうと呼び掛けた。強いチームの条件として力強い応援がその一つとしてある。応援は周囲に対して圧力、存在感を高め、プレッシャーを与える作用を持つとその重要性を訴えるとともに、選手、応援に関係なく、桐の葉を着けるからにはプライドを持って戦おうと呼び掛けた。最後に、新しい年号「令和」の始まりに、新たな競技部の歴史を作ろうではないかと結んだ。

主将の挨拶文を代読する北川君

 

競技力の高い新入生が多く加入した今季だが、彼らの活躍とは別に2年以上の上級生がどう戦うかが重要であることは言うまでもない。男子は総合で昨年の5位から3位以内が射程に入ってきた。連覇がかかる女子は、最初の決勝種目から取りこぼしなく戦う隙のなさが示せるか。男女ともに潜在力のあるチームだけに、そのあたりがポイントになるだろう。

 

日本インカレの前哨戦でもある関東インカレで、選手すべてが伸び伸びと力を発揮し、その経験を秋に繋げ、明年のオリンピックに道筋をつけてほしいと願っている。開催地の相模原ギオンスタジアム(神奈川)は交通の便がよくないが、多くのOB・OGが応援に駆けつけてくれることを願っている。会場に足を運べない全国OB・OG諸氏には学生の活躍に注目をしていただき、それぞれの地から温かい声援を送っていただくことをお願いします。