10秒00で走った16歳
清水選手を小学生時代から見ている松本彰さんから、リポートが届きました。
「早熟」の傾向はあるが、動きがいいうえ、しっかりした子なので、まだまだ伸びしろはあるのではと述べています。
小柄な16歳が10秒00のU18世界新
清水空跳君の快走に感動・興奮・期待
石川陸上競技協会会長
松本 彰(1975年卒)
猛暑の広島インターハイは変則的な競技運営で実施され、今後の大会の在り方にも一石を投じる結果になりました。そんな大会で圧巻だったのは、男子100mで10秒00の高校(U18世界)記録を樹立した当県の星稜高校2年生、清水空跳選手の走りだったでしょう。
春からの走りを見ていて、優勝の可能性は高いとは見込んでいました。しかし、記録は10秒10台だろうと予測していたので、さすがに10秒00までは想像していませんでした。
父親が走高跳選手(国体入賞)で、母親はハードル選手(日本選手権出場)、姉もハードル選手という陸上一家で育ち、小学生から陸上に取り組んだ。金沢市の陸上教室では、小柄で足の回転が速い選手という印象はありましたが、大きな注目を集めたのは中学3年生から。100mで10秒75、200mでは21秒84の県中学記録を樹立し、全中では200mで優勝を果しました。
高校入学後は、1年生で早くも10秒26、21秒20と記録を伸ばし、インターハイでは100mで1年生最高順位の2位、国スポではB100mを制しました。今季の活躍はご存じの通りで、200mでも追風参考ながら20秒39をマークし、インターハイ2冠を制覇しました。
彼の走りの特長は、この200mに現れています。脚の動きは最も無駄のない楕円形の軌跡を描き、接地も滑らかで推進力のロスが少ない。国内トップスプリンターの中でも屈指の効率的な走法と言えます。164㎝の小柄な体でも200mを走り切れるのは、彼のこの非凡な能力によるものーというのが私の見立てです。
U18世界記録という高いレベルの記録ですから、短縮していくのは容易なことではありません。しかし、しっかり目標を掲げて実現させ、大きな舞台でも物おじせずに力を発揮するタイプ。今の彼なら一気に9秒台、そればかりか日本記録の更新も夢ではない。そんな期待さえ抱かせてくれる頼もしい16歳です。
最後に、昨年の正月に発生した能登半島地震や秋の豪雨の際には、多くの方から見舞金や激励等を頂きました。改めて御礼を申し上げます。まだまだ復旧・復興途上ですが、着実に前へ進むべく、みな頑張っています。
「負けるな能登、頑張ろう石川」