木路修平男子駅伝監督の夏合宿報告

テーマは「個の力を強化し、狙った試合で結果を」白河~熊本~菅平の夏合宿を順調に消化

男子駅伝監督  木路 修平(1990年卒)

皆さまにおかれましては、日頃より筑波大学陸上競技部の活動に対し、温かいご支援、ご声援を賜り、誠にありがとうございます。男子駅伝監督の木路修平です。箱根駅伝予選会突破に向けたこれまでの取り組みと夏の強化期間を終えた現在のチーム状況を報告させていただきます。

本年度、学生と共有したチームの取り組みは

  1. チーム全員の個の力の強化(全員の自己記録更新)
  2. 挑戦と確実性のバランス(狙った試合に確実に結果を残す)
  3. 選択と集中(レベルに応じた試合選択)

の3つをテーマとした、他校の主力と対等に戦える複数人のエースの育成と中間層の強化の両立でした。

前半試合期出場全18試合のべ178名のうち44.6%のべ78名が自己記録を更新したことから、テーマの一つである「チーム全員の個の力の強化」は順調に進んでいると評価しています。その中でも金子佑太朗君(工学システム4年)の5000m、10000mでの大幅な筑波大学記録の更新は、他校のエースに見劣りしない選手としての地位を確立したと思います。一方で、16分台、15分台後半で入学してきた選手も複数回の自己記録更新で着実な成長による下からの突き上げの役割を十分に果たしてくれています。このような13分45秒の自己記録更新も15分20秒切りの自己記録更新も同じようにチーム全体で喜べることは筑波大学らしいなと改めて感じております。

また、関東インカレ入賞1名、五大学対抗優勝1名、3位2名と大学代表として公式ユニフォーム(青桐)を着用する試合できっちり他大学の代表と勝負し結果を残すことも出来てきており、「挑戦と確実性のバランス」というテーマもチームに浸透してきていると感じています。このことは「選択と集中」というテーマを実現するために、北海道遠征という機会を皆様のご支援によって作っていただけたことが大きな要因だと感謝いたします。

今季、急成長した金子を祝福するOBの西と福谷

一方で、「14分40秒切りを20名」という具体的な目標が11名に終わったことから、中間層の強化が最重要テーマになることは明らかでした。そのために、8月17日から始まる福島県白河でのチーム合宿からその先の熊本県水上村、長野県菅平での選抜合宿に向けた練習に耐えうる身体つくりや暑熱馴化およびトレーニング目的の理解と共有など心身のしっかりとした準備を7月から8月頭にかけて、つくばでじっくり行いました。おかげさまで、白河のチーム合宿が43名、熊本水上村の選抜合宿が25名、最終の菅平高原合宿を21名の例年にない大人数でのまとまったトレーニングに、練習計画を作成している私が「例年より練習負荷が落ちているのかな?」と心配になるくらいの消化状況でした。

この要因の一つとして、古川駅伝主将、金子副主将のキャプテンシーの発揮が大きかったと感じています。両名には夏の強化に入る前の面談で「チームをまとめようと自身の目線を下げることは絶対しないでほしい。目線を下げて主力が主力の力を発揮できないことの方がチーム力低下だから、まず自分が強くなることだけを考えてほしい」の一つだけお願いしました。仲良しチームでなく自分が箱根駅伝に出るために必要な選手の集まりにしてもらいたかったからです。そこで軋轢が生じた際にまとめることだけが私(監督)の仕事ですので。その要求に両名はしっかり応えてくれました。併せて、予選会までマネジメント・サポート業務に専念してくれた4人の4年生の存在も大きく、スタッフ1人の影響を選手に感じさせることなく強化に打ち込める環境を作ってくれました。本当に感謝したします。

ここまでの予選会に向けての準備状況は順調であると言えます。であるからこそ、ここから箱根駅伝予選会に向けての局面において、トップ層の故障回避と中間層の自信の獲得というしっかりとした心身の準備が最大テーマとなります。そのために、チーム全体で箱根駅伝予選会突破という目標を決してブラさず、共有し続けてやり残したことがなく予選会のスタートにつくことのみを考えて準備していきます。それができれば目標達成の可能性は大きく高まるはずです。

金子君が筑波大記録を更新した北海道遠征では、日本陸連、実業団のOBの皆さまに祝福していただき、改めて多くの方々に支援していただいていること、そして結果を残すことでこんなに喜んでもらえるんだということを改めて実感したようで、それをチームの財産として持ち帰ってくれています。また合宿中においても様々な方々から差し入れ等をいただき本当に感謝したします。予選会突破という結果で皆さまに喜んでいただけるよう精一杯頑張りますので、学生たちの「本気」の取り組みへの変わらぬご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。