第90回日本学生陸上競技対校選手権大会リポート

第90回日本学生陸上競技対校選手権大会は9月17~19日、埼玉県の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われ、筑波大は女子が総合6位(40点)、男子は10位(27点)にとどまりました。優勝は男子が順大、女子は日体大でした。

筑波大は初日の女子走幅跳で高良彩花(3年・園田女学園)が6m33で初優勝し、6m13を跳んだ吉岡美玲(4年・星稜)とのワンツーフィニッシュと好スタートを切りました。しかし、短距離陣が男女4種目のリレーすべて決勝進出を逃すなど不振。最終日の男子棒高跳で1年生の古澤一生(前橋育英)が5m40に成功し、男子唯一の優勝を果たしたのが救いでした。

5m40をクリアして優勝した1年生の古澤(9/19)

このほか、高良が女子三段跳でも1位と7㎝差の2位に入る活躍。同1500mでは樫原沙紀(2年・呉三津田)が3位、ハンマー投の渡邊ももこ(3年・敦賀)が2位で、男子3000scで3位に食い込んだ松村匡悟(3年・佐野日大)とともに表彰台へ上がりました。

五輪で活躍した三浦に食い下がって3位の松村(9/19)

短距離は男女で入賞ゼロ。トラック全体でも男子10点、女子7点と極めて低調で、てこ入れが求められます。ただ、入賞14種目中11種目を3年生以下が占め、来季へ期待をつないでいます。

(船原勝英副会長)

 

故障者多く男女とも惨敗 新たなスタイル求めて復活を期す

監督  榎本 靖士

男女とも故障者が多く、大会前から厳しい戦いが予想されていました。男子は5000m、3000mSC、走高跳、棒高跳、やり投の5種目で27点10位、女子は1500m、3000mSC、走幅跳、三段跳、やり投、円盤投、ハンマー投の7種目で40点6位でした。

振り返ると、男子は87、88回大会の2年連続3位から昨年の9点28位、女子は86回福井大会での42点5位を経験して87〜89回の3連覇からのこの成績でした。関東インカレからの巻き返しを目指して4年生を中心に工夫を凝らしましたが、男女ともに惨敗となってしまいました。男女とも大学院生の得点がなく、4年生の得点も男子4点、女子8点のみと、世代交代しているところとも言えます。

男女とも短距離が無得点に終わったことに対しては、大きなテコ入れが必要であると考えています。新型コロナウイルスの影響によって、思うようなトレーニングができない状況が続いています。トレーニング場の利用に制限があり、競技場での練習は教員の立ち会いのもとのみとされています。中距離チームが計画した合宿は許可が下りないといったこともありました。通常のインカレができない2年を経て、もう元の状態を目指すのではなく、新たな競技部のスタイルや学生の取り組みを求めて復活を期したいと思います。

男子やり投で5位に入った堤(9/17)

 

勝負強さが求められるインカレ 日頃の最善の努力を惜しむな

会長 栗山佳也

昨年から世界中で猛威を振るっている新型コロナは、昨年の新潟大会よりも厳しい感染防止対策を強いられる第5波緊急事態宣言発出の中で行われた。また、第2日目は台風14号の接近で大荒れになるのではないか?との不安もあったが、幸い小雨程度で済み3日間好コンディションであった。競技開始9:00、終了20時という長丁場に加え、トラックで複数種目を兼ねる選手にとってはハードスケジュールであったが、3日間日程ではこれらの肉体的負担は仕方がないであろう。

本大会結果から筑波大の成績は、男子総合10位(27点)、女子総合6位(40点)であり、特にトラック種目で点数が取れない傾向であった(個々の結果は学連HP参照)。各選手が自己新とまでは行かずとも個人の持つベストパフォーマンス(98%以上)に近いものを出せばもう少し上位に行けたと思うが、新型コロナなどに関係する十分ではないコンディショニングは理由にはできないであろう。インカレという大会は0.01秒、1㎝、1点に競り勝つ「勝負強さ」が求められるものであり、日頃のトレーニングにおいても勝つための最善の努力は惜しんではならないと思う。

全体的に学生の競技レベルは年々高くなる傾向にあるが、その波に乗り遅れることがないよう頑張っていただきたい。来年は京都・西京極陸上競技場での開催が決まっている。今大会の結果を踏まえ、全国のOB・OGは来年に向けて高みを見据えて頑張ってくれることを期待しています。

 

女子やり投で意地の8位入賞を果たした兵藤主将(9/17)

 

第90回日本インカレ観戦記(短距離)

北信越学連代表理事 三條俊彦(1978年卒)

学生競技者は卒業、入学を繰り返すことになるので、その時々でチーム力が変動することはやむを得ないことである。しかしながら、今回の日本インカレにおいて、筑波大は100m、200m、400m、110mH(女子は100mH)、400mH、4×100mR、4×400mRの短距離種目において、男女ともに入賞者を出すことができなった。短距離種目の得点は0点である。

過去のデータに基づいた把握が出来ているわけではないが、感覚的には前代未聞の出来事である。リレーに関しては、予選がすべてタイムで上位8チームが決定される方式であったので、相対的な順位が分かりにくい面があった。たとえば、男子4×100mRで、筑波大はその組のトップであったが、惜しくも上位8チームに入ることができなかった。また、男子の4×400mRでもわずかのタイム差で決勝進出を果たすことができなかった。非常にレベルが拮抗している状態ではあるが、一つ抜け出た競技力獲得を目指してほしい。

短距離種目全体の印象としては、たとえば関東の伝統校以外に関西の有力校やそれ以外の地域の競技力が向上し、高い競技力を持った選手が分散している印象が強い。
短距離種目の中には、レベルが非常に高くなり、入賞することの難易度が上がっている種目もあるが、過去からの実績の継承をもってすれば十分に戦えるはずである。今回の結果を分析し、具体的な目標をもってモチベーションを維持し、次の時代に向かって巻き返しを図ってほしいと強く感じる次第である。

男子4×400R予選 3走の菅野(9/18)

 

「力強さ」と「最後には勝ち切る力」が必要~中長距離・競歩

 OBOG会幹事 渋谷俊浩(1985年卒)

今回、学連理事(関西学連ヘッドコーチ)として日本インカレに参加しておりました。母校の状況(特に中長距離・競歩種目)を報告いたします。

大会1日目

1500mは男女とも予選のレベルが高く、各1名が決勝進出、女子決勝で樫原さん(2年生)がラストの競り合いの末見事3位に入賞しましたが、男子はハイペースの展開に乗り切れず苦戦を強いられました。また、男女10000mは残念ながら出場者がありませんでした。

女子1500mで3位に入った樫原(9/17)

大会2日目

男女800予選では複数名が準決勝へ進みました。男子10000m競歩では、近年急激にレベルアップしている学生トップグループとの力の差が顕著でした。

大会3日目

朝9時から行われた期待の男女800m準決勝ですが、経験の差があったのか、ここで全員敗退となりました。その沈みかけたムードを一変させたのが男女3000mSCでした。女子は前出の樫原さんが、男子は松村君(3年生)がよく粘り、それぞれ8位・3位に入賞、さらに男子5000mでは杉山君(4年生)が5位入賞とスタンドを沸かせました。)

女子1500mで3位に入った樫原は3000scでも8位入賞(9/19)

私見ではありますが、今回の日本インカレで感じたのは、筑波の中長距離・競歩種目には「力強さ」さらには「最後には勝ち切る力」が必要であるということです。ここ数年で、男子5000m・10000mの筑波大学記録が更新されたことから、着実にスピードアップがなされているものと考えます。今後も困難な状況は続くでしょうが、学生・関係者の皆さんの創意工夫で、ぜひとも「仙台へ」「箱根へ」つなげていただくことを期待したいと思います。

 

2m10で5位に入った柴田(9/18)

6位に入賞した西山(9/18)

渡邊は惜しくも2位(9/19)

女子走幅跳は、吉岡(左)、高良(右)で1,2位を占めた(9/17)

高良は三段跳でも2位(9/19)

女子ハンマー投 2位に入った渡邉(9/19)

棒高跳びで優勝した古澤(9/19)

 

公式HP 結果

競技順(種目ごと)タイムテーブル順大学別(筑波大)大学別(全大学)