ワールドユニバーシティーゲームズ報告

陸上競技部監督 榎本 靖士

2023年8月1日から6日まで中国・成都でワールドユニバーシティゲームズ(旧ユニバーシアード)の陸上競技が開催された。2021年大会がコロナ禍のため2年延期された末の開催となった。代表選手は4月に学生個人選手権の結果で選考され、筑波大学からは鵜澤飛羽(体育3年・築館・宮城)、今泉堅貴(体育4年・福大大濠・福岡)、古澤一生(体育3年・前橋育英・群馬)、巌優作(体育3年・市立尼崎・兵庫)、三浦由奈(体育4年・柴田・宮城)、樫原沙紀(体育4年・呉三津田・広島)の6名が選出されたが、鵜澤は日本選手権で優勝し、世界選手権の代表に選出される可能性が高くなったところで代表を辞退した。チームスタッフには、木越、前村両コーチが派遣され、大山、榎本は関東学連指導者研修として現地に赴いた。

成都は四川省の省都で、紀元前の三国時代から発展した都市である。上海から2000kmほど西にあるため、日本との時差は1時間ではあったが、2時間は差がある感じであった。気候は、事前情報では日本よりも暑いと言われていたが、不安定な天気で連日雷雨が発生して気温はそこまで高くなかったが、湿度が非常に高く、風が吹かないため、さらに蒸し暑さを感じた。

今泉は400m予選では47秒23で1着、準決勝では46秒01で2着と順当に勝ち上がったものの、決勝ではこれまでの疲労からハムストリングスに痛みが出て、力を出し切ることができず、47秒18で8位に終わった。その後のマイルリレーも日本チームは棄権した。三浦は予選で11秒59、準決勝で11秒59と2本続けてシーズンベストで走ったものの、0.04秒届かずに決勝進出を逃した。その後、400mリレーでは2走でチームに貢献し、44秒66で4位入賞を果たした。古澤は棒高跳で記録なしに終わった。5m10からの試技で2本続けて高さは出ていたもののバーを落とし、3本目には時間がなく慌ててスタートを切ったがポールを滑らせて跳躍できずに終わった。巌は調整不足から助走から投げまでまとめることができず苦戦したが、68m45でベスト8にかろうじて残った。その後、74m58まで記録を伸ばしなんとか5位入賞を勝ち取った。樫原は6着取りの予選でラストスパート勝負の結果5着で決勝進出。決勝でもスローペースからのラストスパート勝負となりラスト400mでうまく先頭を追走し、3位の選手とラスト300mから競っていたもののラスト直線で力尽き4分18秒57で5位となった。

日本選手団は、金2、銀4、銅5、入賞23と国別では総合4位となった。これまで日本学生チームでは得意種目であった、10000m、ハーフマラソン、競歩では苦戦したが、男子110mHでの金メダルをはじめ、これまで派遣が厳しかった種目でも入賞やメダルに届くことができ、日本の陸上競技があらたな局面にいることを強く感じた。